第4分科会の「エネルギー自立を目指した街づくり」というテーマを初めて聞いた時、難しそうな話だと漠然と思っていた。「サスティナブル・コミュニティ」という概念を全くのゼロから理解することに始まり、しかも一つの分科会を担当することになったわけであるが、当然その分科会の基礎となる知識が圧倒的に不足していた。もちろん、コーディネーターの三浦助教授やゲストのNPO知音山崎理事長、NPOふうど高橋副代表はそれぞれ実績のある方々だったので、事例発表の面では全くのお任せで心配はなかったのだが、七日町商店街としてどのような方向性を打ち出せるのか全く見えない状態からのスタートだった。しかし、プレイベントとして実施した「エコリンピック」でのBDFバスの運行実験や、コーディネーター・ゲストの方々との打合せのやりとりを通して、環境問題やエネルギー問題というのは「難しいテーマ」という認識から、しかしながら「面白いテーマ」でもあるという認識に変化していった。事前に何度か行った分科会の会議に三浦助教授が出席して下さる機会があり、このテーマについての考えを事前に伺うことができ、分科会の方向性が曖昧ながらも見えてきた。三浦助教授のゼミ生の方が考えたという中心街循環バスをBDFで運行するプロジェクトから、地域でできる省エネ活動等、様々なアイデアを提供していただいた。
分科会で紹介された「菜の花プロジェクト」、「バイオマス資源化」、「立川町町民節電所」等々、エネルギー問題に取り組んでいるという事例はたくさんある。例えば、NPOふうどの事例にあったような、生ごみ焼却費用と資源化費用との差益で地域通貨を発行するという考えは非常にスマートなもので、経済と環境が両立する可能性を感じさせる。しかし、七日町商店街でそれらをそのまま実行することは難しい。だが、視点を変えれば商店街というのはエネルギーの消費量も廃棄物の量も非常に大きな場所であり、これらの問題を解決していくことも環境に対する負荷を軽減するという意味で有効である。また経済的な付加価値としての環境という考え方も、商店街にとってこの問題を考えるひとつの重要な切り口になるのではないだろうか。エネルギーや環境といった大きな課題を、ひとつの地域の限定された集団である商店街とどのように結びつけて結論づけることができるか?NPO知音の山崎理事長の「わたしたちにできる小さな事から」という言葉は、七日町商店街にとって重要な意味を持つように感じられた。
また、分科会をまとめる言葉のひとつとして「顔の見える関係」というキーワードがあった。それぞれの事例についてもお互いの顔の見える関係があったからこそ継続していられるということだ。商売も同様で、お客様との信頼関係があってこそ継続していける。特にこの分科会の三浦助教授と山崎理事長は山形在住であり、顔の見える関係を維持していくのは他の分科会よりも容易なはずである。この分科会のテーマに答えが出たわけではない。これから発足する研究会でこの分科会のテーマを継続して考えながら、今回この分科会に関わっていただいた方々との顔の見える関係を持続していければと思う。
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